親鸞聖人の生涯
〜『顛倒』連載版〜第37回
瑞興寺所蔵 親鸞聖人御絵伝
とうとう善信聖人は三十五歳の春に、北国へ左遷されました。 そのわけは、法然上人が広めた専修念仏の教えが、京にも田舎にも風のように素早く伝わり、 階位の上下にかかわらず大勢の人々が帰依していきました。 このため南都・興福寺や北嶺・比叡山の僧侶たちが不満や怒りをあらわにして、 専修念仏を停止して法然上人ならびに高弟たち、 ことに権大納言公継卿(藤原公継のこと)を重罪にするように、 くり返し訴状を朝廷に差し出しました。 なにか口実がないかと目を光らせていた矢先に、弟子の住蓮房。 安楽房などが間違いを起こしました。
−−−親鸞聖人正明伝 より−−−
○<住職のコメント>
ちょうど一年間、『興福寺奏状』を読んできました。
これは既成仏教教団からの理論的な念仏批判でしたが、法然上人の弟子には、
九条兼実といった貴族の実力者や、朝廷としてのも、すぐにはなかなか処分を下せませんでした。
そこに格好の事件が発覚したのです。
それが、「住蓮房、安楽房などの無法な行い」とされる事件で、 松虫、鈴虫という妙齢の女性にの絡むスキャンダルとなったのです。 当時法然上人の吉水教団は、まさに「念仏の僧伽」として、老若男女。 多様な人々の集う場となっていました。 そこに、当時の最高権力者である、後鳥羽上皇の後室の女性も来られていました。
法然上人の弟子でもある、住み蓮房、安楽房、は、美男美声の層で、 京都東山、鹿ケ谷に草庵を構え『往生礼賛』という、美しい念仏を唱えて、大人気を博していたのです。 仏教教団といっても、お堅い話ばかりではなく、 現代の芸能人をはやすファンのような色っぽい部分もあったのでしょう。
ちょうど、主人の後鳥羽上皇が熊野詣での留守中に、とある夜、上皇が寵愛していた、 松虫、鈴虫という二人の女性が、手に手を取って別時念仏会に参加し、 上皇の元へ戻らなくなってっしまったのです。 熊野から戻った後鳥羽上皇は、烈火のごとく怒りを爆発させ、 それが、直接のきっかけとなって、吉水教団の弾圧、承元の法難となりました。
この事件は、京都の、町衆の中でも有名な事件となり、 松虫、鈴虫が、人目を忍んで、夜の街をッ鹿ケ谷に急ぐっ姿が、 まことしやかに講談などで取り上げたりもされたようです。 そこに、男女の関係があったかまでは、定かではありませんが、 女犯をいとわない、専修念仏の教えですから、あった可能性は高いと思われます。 どちらにせよ、そのような、主従関係を抜け出せるような、 『自立自律した女性」を、吉水教団の』専修念仏が、育てていたことは、 確かなことと言えるのではないでしょうか。
それが、「住蓮房、安楽房などの無法な行い」とされる事件で、 松虫、鈴虫という妙齢の女性にの絡むスキャンダルとなったのです。 当時法然上人の吉水教団は、まさに「念仏の僧伽」として、老若男女。 多様な人々の集う場となっていました。 そこに、当時の最高権力者である、後鳥羽上皇の後室の女性も来られていました。
法然上人の弟子でもある、住み蓮房、安楽房、は、美男美声の層で、 京都東山、鹿ケ谷に草庵を構え『往生礼賛』という、美しい念仏を唱えて、大人気を博していたのです。 仏教教団といっても、お堅い話ばかりではなく、 現代の芸能人をはやすファンのような色っぽい部分もあったのでしょう。
ちょうど、主人の後鳥羽上皇が熊野詣での留守中に、とある夜、上皇が寵愛していた、 松虫、鈴虫という二人の女性が、手に手を取って別時念仏会に参加し、 上皇の元へ戻らなくなってっしまったのです。 熊野から戻った後鳥羽上皇は、烈火のごとく怒りを爆発させ、 それが、直接のきっかけとなって、吉水教団の弾圧、承元の法難となりました。
この事件は、京都の、町衆の中でも有名な事件となり、 松虫、鈴虫が、人目を忍んで、夜の街をッ鹿ケ谷に急ぐっ姿が、 まことしやかに講談などで取り上げたりもされたようです。 そこに、男女の関係があったかまでは、定かではありませんが、 女犯をいとわない、専修念仏の教えですから、あった可能性は高いと思われます。 どちらにせよ、そのような、主従関係を抜け出せるような、 『自立自律した女性」を、吉水教団の』専修念仏が、育てていたことは、 確かなことと言えるのではないでしょうか。
住蓮房 俗名 清原次郎左衛門信国、元、御所の北面の武士 伊勢国出身。 安楽房 俗名 阿部判官守久 元 五百国の武士
―――以上『顛倒』2011年5月号 No.329より―――
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