瑞興寺 墓じまい
顛倒 2017年1月 号より
墓じまいについてのコラム
年末の帰省シーズンが近い。親族同士が顔を合わせるこの時期に、最近よく耳にするのが「墓じまい」。 自分たちも若くない、いつまで遠方の故郷の墓にお参りできるか分からない。 ならばいっそ墓を自宅近くに引っ越そう、ということだ。どうすればいいのだろう。-----【吉井理記】
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人ごとではない。記者も先祖の墓は遠方にある。
高齢になれば、墓参りは難しくなりそうだ。でも墓をほったらかしにするのは、ご先祖様に申し訳ない。
心配になって「日本葬祭アカデミー教務研究室」代表の二村祐輔さんを訪ねた。 自治体主催のセミナーや大学の授業で、墓や葬式、供養のあり方を教える葬祭のプロである。
「なるほど。『墓じまい』を心配する人の典型的なパターンですね。 『墓じまい』には大別して2種類あるのですが、お墓をどうするかを考える前に、 あなたやご先祖の供養をどうしたいのかを考えておいてください」
手続きに入る前に、まず「墓じまい」には▽墓仕舞(じま)い▽墓終(じま)い−−があることを押さえておこう。 墓仕舞いは、法律(墓地埋葬法)上は「改葬」と呼ばれる。 遠くにある墓をなくす代わりに、家族や親族がお参りしやすい近場の霊園や寺の墓地に引っ越すことだ。
墓終いは故郷の墓をなくすまでは同じだが、代わりの墓は作らず「廃墓」にする、ということだ。 遺骨をそのまま遺棄するのは犯罪(刑法190条)になる。 そこで、遺骨を専門業者に依頼するなどして粉末にしてから海に散骨するのがよく行われている。
粉末にするまでは同じだが、霊園の一角に数十人〜数百人分をまとめて埋める、 といった方法もあるが、法的には改葬になることもあるので各霊園に確認しよう。
つまり、墓仕舞いは墓の移転に費用はかかるが、子孫は墓参りができる。 一方、墓終いは身よりがない人、あるいは墓の維持に負担を感じる人に人気があるという。
「先祖や自分の供養を後世に形として引き継ぐか、あるいは形にはこだわらないか。 供養そのものを不必要とするか。祖先に思いをはせつつ、よく考えてみてください」と二村さんが忠告する。
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瑞興寺に於いてもこの間12月末の休日、新たなご縁で「瑞興寺門徒」に加わられたご家族と、 京都東山にある「大谷祖廟」の納骨のお参りにご一緒させて頂いた。実家が東北の仙台にあり、 自分たち姉弟3家族は東京圏在住だが、仙台には誰も還らないという事で、 仙台にある先祖の墓を引き払い、曾祖父、祖父母、父母の5人の方々のお骨を、 親鸞聖人のお墓に一緒に納められる事になったのだ。 昨今話題に上っている「墓じまい」の典型的な形でもあり、ご紹介する。 ご相談を頂いた時、「東京にも大谷派で納骨できるお寺はありますよ」と申し上げたのだが、 施主の方が、親鸞に傾倒して得度を受けた方なので、 「親鸞さんのお墓に納めたい」また「最近亡くなった父も京都が好きだし、 姉弟がこれをきっかけに年に一度くらい京都で顔を合わすのもいいと思って」という事で、 瑞興寺から手続きをさせて頂いて、今日の納骨となったのだ。
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[事前の段取り]
- 1.大谷祖廟から「納骨を受ける」という証明書を取る
- 2.その証明書を付けてお墓を管理する役所に「改葬届」を出す
- 3.改葬許可証を示してお寺さんにお勤めして頂き「お骨」を取り出す
- 4.大谷祖廟で納骨。である。
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[東本願寺特別お参りコース]
- 午前
- 10:30大谷祖廟集合
- 10:45祖廟の座敷を借りて、住職が法要を勤める
- 11:30納骨受付 引き続き 本堂でお勤め、祖廟納骨
- 午後
- 00:30「渉成園(枳殻邸)」に移動
- 01:00 座敷を借り、仕出屋「泉仙」の「鉄鉢料理」で昼食
- 03:00 東本願寺阿弥陀堂、御影堂にお参りし、諸殿を住職がご案内
- 04:30 解散 である。
丁寧な方々なので、住職として特別なコースを設定した。
「鉄鉢料理」とは、禅僧の托鉢の器を模した朱塗りの鉢に精進料理が盛られており、 食後、八つほどの鉢が皆それぞれ内側に収まるという、楽しい料理である。 大切な納骨の特別な一日になったのではと思う。 東本願寺に納骨をお考えの方は、ぜひ住職にご相談を。 また「墓じまい」の選択肢としては、 瑞興寺境内に「惣墓」(共同墓)もあるので、これまた、ご相談賜りたい。
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