ゴータマ・ブッディズムの生活(12)

 

獅子吼

 

1998年はトラ年だが、お釈迦さまの国インドでは、虎は一番の猛獣だ。

が、そこで手塚治虫さんの『ブッダ』の中のこんな言葉を思い出す。


「わたしたち野山にすむものは、空腹で食べなければならないときしか相手を殺さないの。それが掟なんだよ!」

「あの恐ろしいトラだっておなかいっぱいのときは、寝そべって虫いっぴき殺さないわ。どんなおいしそうなえものが近づいても知らないかおをしてるのよ。
それは無意味な殺し合いはしない掟だからだよ。
その掟を破っているのは、人間だけ!

だから人間はおそろしいの....」

住職のひとこと

さすがに、直接的な殺し合いである戦争は、私たちの国、日本はこの五十年していない。

けれど、現実に眼を向ければ、交通事故。原発被爆。サラ金地獄。過労死。学校でのいじめや自殺。ダイオキシンや放射能によるガン死。等々。

多くの人の死がいわばこの今の社会を支えるコストとして放置されている。それらは「仕方のない死」なんだろうか。


否。これこそ「殺しすぎ」の罪であろう。「殺すな」との仏陀の厳しい呼びかけに応え、「獅子吼」ならぬ、虎の吼えるが如く提起し続けたいものだ。

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