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和田稠さんのことば (3)

永代経法要(1999.4.29)法話より

○今年の永代経法要では『共に生きる国』というテーマを頂いていまして、このことを手がかりに、ごいっしょに、親鸞聖人の教えに生きるとは、どういうことなのか。ということを聞いていきたいとおもいます。

 

孤立した国・
世界の中の日本

 

○日本の国民が何を願っているのか。国家として、どんな志(こころざし)を持っているのか。
わからない。

世界から見て、日本ほどわからない国はない。
何を考えているのか。
どこへ行こうとするのか。
ハラがわからない。

だから、本当のハラを割ったお友達の国がない。

これほど周りの国から孤立した国家は少ないですよ。
中にいる私達はわかっていませんが、ほんの近くの韓国とも、北朝鮮とも、中国とも、フィリピンとも、
お友達になれない。

そのように国家全体が孤立してしまっていますから、その中にいる私達が「本当に生きる喜びを見出そう」としても、
これは、とても難しい。

 

過去現在未来の衆生と共に生きる

 

○亡くなった人と、今生きておる者と、これから生まれてくる者とが本当にひとつの「くに」を持つことができるのか。

お葬式を済ませたら、亡くなった人との間柄は無くなるのんですか。

「くに」は何処へいったのか(愛国心とは何か)

過去の出来事を心に刻む

 

 

 

○ドイツの元大統領のヴァイツゼッカーという人がおられ、1985年に
「過去に目を閉ざすものは、未来にも盲目である」
という有名な演説をされたのですが。

彼はその演説を、「ドイツの小学生や中学生や戦争を知らない世代に向けて行った。」
と言うのです。

それがフランスやイギリスやオランダなど、かって大戦の敵であった各国の人達に大きな感動を与えたのです。

そのことを、彼は「当初予想していなかった。」
と言うのです。

○彼は
「戦前であれ、戦後であれ、ドイツ民族である限り、ドイツ民族の犯した罪をのがれることはできない。
たとえ戦後に生まれた人もそのことを心に刻んでおいてほしい」
と言うのです。

「くに」を若い世代に託す

 

 

 

○これから国を背負ってくれる若いドイツ人、これから生まれてくるドイツ人。
そこまで考えているんです。

若い人達に、ドイツがやってきたことをしっかり覚えておいてほしい。
そして、あなた達がやがて国を背負う時に、
本当に過ちのないドイツを再建してほしい。
と言う願いです。

○そこには、国に対する深い愛情と、国に対する期待と、これから若い人達が背負ってくれる将来の国への願いがあります。
本当の愛国心です。

日本の実状 

 

 

 

○ひるがえって、日本はどうですかねぇ。
政治家は票集めのために、有権者に語りかけますが、
将来の日本の国に期待して、小中学生に語りかけるなんてことは全くありませんねぇ。

宗教(真宗)は「くに」を拓く


ハワイの農場での
ウェルカムパーティ

○それほど、今の私達は「くに」を失っているんです。
それでは生きる喜びなんて持ち得ない。

宗教は自分一人のご利益だけ喜んでおればよい。と言うものではない。

『「諸々の衆生と共に」という「くに」を拓いていく』
と言う大きな終わりのない仕事を頂く。
ということです。

願いを聞く(真宗の眼目)<再掲>

○浄土真宗のお寺は親鸞さまの教えに成り立っている。

そして、ご門徒とはその教えを聞くことによって

「私がご縁を持って生まれてきたのは、この教えを聞くためだったんだ」と気付かされる。

「ああ、
こんなたいした人間の生き方があったんだ」
という大きな感動と喜びを生きていってほしい。

という願いがある。

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