■第二章■ ・・・その2・・・
〜地獄は一定すみかぞかし〜
○【第二章】その2 |
絵:御絵伝より
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○<住職のコメント> 「地獄落ち」という言葉がよく出てくるが、これには背景がある。 京都にいる親鸞の元へ、関東から弟子たちが命懸けで教えを聞きに来られた理由に、当時関東で積極的な布教を行っていた日蓮の説法で沸き上がった疑問がある。 日蓮は他宗派を軒並みに批判して、「念仏無間、禅天魔、真言亡国、律国賊」と言い、特に「念仏者は無間地獄におちる」と説いて、関東の念仏者の間に動揺を広げていたのだ。 だからこそ聞きに来た同行(どうぎょう;注) 達を前にして、親鸞は、「地獄になど落ちないよ」なんていう、あらゆる人間の奥底に潜む上昇志向をくすぐるような、甘っちょろいことは決して言わず、「地獄落ちでも構わない」と言い放つ。 恐ろしいほどの「仏(ぶつ)の教え」に対する信頼である。 注;どうぎょう=親鸞は弟子という言葉を上下関係だと嫌い 「同行」同朋(どうぼう)という言葉を良く用いた。 |
―――以上『顛倒』99年6月号 No.186より―――
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